エスケープⅢ [夢]
こんな国、もうごめんだ。文明だけが発達して、金持ちたちは悠々と暮らしている。しかし、貧乏人には自由がない。出てってやる。
深夜12時過ぎにいつも来る貨物列車。それに乗り込んでこの村から出る、自由の国を目指して・・・。用意はできている。お金は何とかある。パスポートもある。たぶん、大丈夫なはず。
そして12時。いつものように列車がやってきた。この村には止まらない。止まる必要がないから。走っている列車に飛び乗るのだから命がけだ。ここで終われば、すべてが終わる。もう、後戻りはしない。必死に飛びついた。恐怖心を捨てて、自由を求めて飛びついた。
無事、乗り込むことができた。しばらく揺れていることになる。この国の列車には特殊なものがあり、立体的に動くものがある。この列車はまさしくそれだ。行く途中、分岐点が現れた。それを左に曲がると、ひとつのトンネルがあった。そのトンネルの中は薄暗くて、広く、いくつもの列車が三次元に動いていた。その光景に圧倒されながらも、少し楽しんでいた。またしばらくするとトンネルを抜けた。
すると、そこにはたくさんの大きな建物が建っていた。そしてその向こう側にはこの国最大の国際空港がある。この列車はそこに向かっている。
ようやく着いた。人に見つかぬよう、こっそりと列車から降りた。いよいよ空港の中に入る。問題はここからだ。
すべてはこのパスポートに懸かっている。自分の物のようで違う、偽りのパスポート。この手のことについて詳しい友人に作ってもらった。汚れているようで、実はみんなの希望が詰まったこのパスポート。すべては、自由のために。
出国前にパスポートのチェックがある。ゲートを渡る前にパスポートをチェックする機械がある。その機械にパスポートをかざしたとき、何も起きなければ無事出国できる。機械の前にはたくさんの人が並んでいる。少しずつ、少しずつ、自分の番が近づいてくる。そのたびに心臓の鼓動が高まる。
ついに自分の出番だ、パスポートをかざす手が震える。ゆっくり、ゆっくりと近づける。そして・・・
「ビーーーーーーーーーー」
機械は無情にも僕らの希望と自由を奪い去った。警察官らしき人物が近づいてくるが、目の前がかすんではっきりと見えない。機械は不条理な警報を鳴らし続けた。
深夜12時過ぎにいつも来る貨物列車。それに乗り込んでこの村から出る、自由の国を目指して・・・。用意はできている。お金は何とかある。パスポートもある。たぶん、大丈夫なはず。
そして12時。いつものように列車がやってきた。この村には止まらない。止まる必要がないから。走っている列車に飛び乗るのだから命がけだ。ここで終われば、すべてが終わる。もう、後戻りはしない。必死に飛びついた。恐怖心を捨てて、自由を求めて飛びついた。
無事、乗り込むことができた。しばらく揺れていることになる。この国の列車には特殊なものがあり、立体的に動くものがある。この列車はまさしくそれだ。行く途中、分岐点が現れた。それを左に曲がると、ひとつのトンネルがあった。そのトンネルの中は薄暗くて、広く、いくつもの列車が三次元に動いていた。その光景に圧倒されながらも、少し楽しんでいた。またしばらくするとトンネルを抜けた。
すると、そこにはたくさんの大きな建物が建っていた。そしてその向こう側にはこの国最大の国際空港がある。この列車はそこに向かっている。
ようやく着いた。人に見つかぬよう、こっそりと列車から降りた。いよいよ空港の中に入る。問題はここからだ。
すべてはこのパスポートに懸かっている。自分の物のようで違う、偽りのパスポート。この手のことについて詳しい友人に作ってもらった。汚れているようで、実はみんなの希望が詰まったこのパスポート。すべては、自由のために。
出国前にパスポートのチェックがある。ゲートを渡る前にパスポートをチェックする機械がある。その機械にパスポートをかざしたとき、何も起きなければ無事出国できる。機械の前にはたくさんの人が並んでいる。少しずつ、少しずつ、自分の番が近づいてくる。そのたびに心臓の鼓動が高まる。
ついに自分の出番だ、パスポートをかざす手が震える。ゆっくり、ゆっくりと近づける。そして・・・
「ビーーーーーーーーーー」
機械は無情にも僕らの希望と自由を奪い去った。警察官らしき人物が近づいてくるが、目の前がかすんではっきりと見えない。機械は不条理な警報を鳴らし続けた。
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